駐車場・資材置場など、宅地や農地に該当しない土地は相続税の評価上「雑種地」に分類されます(空き地も該当することがあります)。評価方法は所在地によって異なり、市街地では「付近の宅地の価額に比準して評価する方法(いわゆる近傍地比準方式・宅地比準方式)」、郊外では近隣の農地等に比準する方法が用いられます。また、相続税の地目は登記簿ではなく「課税時期の現況」で判断されるため注意が必要です。
※本記事は一般的な解説です。個別の税務判断は税理士にご相談ください。
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「親が運営していた月極駐車場は相続税でどう評価されるのか?」「空き地をそのまま放置しているが、相続税はかかるのか?」という疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。駐車場・資材置場といった土地や、現況が宅地・農地・山林等のいずれにも該当しない空き地は、相続税の評価上「雑種地」に分類されることがありますが、建物が建っている宅地と比べて評価方法が複雑です。
雑種地は「消去法」で分類される地目であるため、対象となる土地の現況は非常に多様です。所在地が市街地か郊外か、あるいは利用形態が自己利用か賃貸かによって、評価方法や評価額が大きく変わってきます。
本記事では、雑種地の定義から評価方法の全体像、付近の宅地の価額に比準して評価する方法の計算の流れ、利用形態別の評価事例、そして評価にあたっての注意点までを詳しく解説します。
目次
財産評価基本通達では、土地を「宅地、田、畑、山林、原野、牧場、池沼、鉱泉地、雑種地」の9種類に区分して評価することと定めています。雑種地とは、宅地や田、畑、山林など他の8種類のいずれの地目にも該当しない土地のことであり、「消去法」で分類される地目です。 そのため、雑種地に該当する土地の現況は非常に多様であり、画一的な評価方法がないことが評価を難しくしている要因となっています。
具体的にどのような土地が雑種地に該当するかを見てみましょう。
【代表例】雑種地に該当する主な土地
| 利用形態 | 具体例 |
|---|---|
| 駐車場 | 月極駐車場、コインパーキング(建物がないもの) |
| 資材置場 | 建設資材や廃材などの保管用地 |
| 空き地(未利用地) | 建物がなく、現況が宅地等のいずれにも該当しない遊休地など |
| 太陽光発電用地 | 野立てのソーラーパネルが設置された土地 |
| その他 | ゴルフ練習場、テニスコート、墓地の参道など |
建物が建っていない独立した駐車場や空き地であっても、相続税の課税対象となる立派な財産です。
雑種地の評価方法は、土地の所在地が「市街地(路線価地域)」か「郊外(倍率地域)」かによって大きく異なります。
【整理表】雑種地の評価方法の全体像
| 所在地 | 周囲の状況 | 主な評価方法 |
|---|---|---|
| 市街地(路線価地域) | 周囲が宅地中心 | 付近の宅地の価額に比準して評価する方法(近傍地比準方式・宅地比準方式) |
| 郊外(倍率地域) | 周囲が宅地中心 | 近傍宅地の価額等に比準 |
| 郊外(倍率地域) | 周囲が農地・山林中心 | 近傍の農地・山林等に比準 |
実務上、相続で問題になる雑種地の多くは市街地の駐車場などです。そのため、本記事では市街地で主に用いられる「付近の宅地の価額に比準して評価する方法(以下、実務上よく使われる『近傍地比準方式』や『宅地比準方式』と呼びます)」を中心に解説します。
市街地にある雑種地は、周囲が宅地であることが多いため、原則として付近の宅地の価額に比準して評価します(実務上は近傍地比準方式・宅地比準方式と呼ばれます)。 付近の宅地の価額(路線価など)をベースに、画地補正率の適用と宅地造成費の控除を行って評価する方法です。 詳細な計算の流れは次章で解説します。
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郊外(倍率地域)にある雑種地の場合、固定資産税評価額に国税庁の定める倍率を掛ける方法、または周囲の状況に応じて近隣の宅地・農地・山林等に比準して評価する方法があります。 周囲が農地中心であれば農地に比準し、宅地中心であれば宅地に比準するなど、周辺環境の判断が重要になります。
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評価方法の全体像がわかったら、次は市街地で最も使われる計算方法の具体的な流れを見ていきましょう。
評価対象地と状況が類似する近傍宅地の価額(通常は路線価等を基に算定)を基準とします。路線価が付されていない倍率地域の場合は、近傍宅地の固定資産税評価額などを参考にするケースもあります。
ステップ①で求めた単価に、土地の形状や接道状況に応じた画地補正率(奥行価格補正率・不整形地補正率等)を適用します。雑種地であっても、宅地と同様に土地の使い勝手等を反映するための画地補正が行われます。 また、市街化調整区域にある雑種地など、建築制限がある土地については、利用制限に応じた「しんしゃく割合」(50%・30%等)による補正が行われるケースがあります。
雑種地の現状が更地や砂利敷きなど、宅地として利用するために造成が必要な状態である場合、宅地にするための造成費(整地費・伐採費・地盤改良費・土盛費・土止費等)を1㎡あたりの価額から差し引くことができます。宅地造成費は、国税庁が地域ごとに公表している「宅地造成費の金額表」を参考に計算します。

⚠️ 注意 すでにアスファルト舗装されている駐車場など、造成の必要がない(すでに宅地に近い状態の)土地については、宅地造成費の控除ができない場合があります。
最終的な計算式は以下のようになります。
【計算式】 雑種地の相続税評価額 =(近傍宅地の1㎡あたりの価額 × 画地補正率 − 1㎡あたりの宅地造成費)× 地積
【前提条件】
【計算過程】
※参考:宅地造成費を控除しなかった場合の評価額は194千円 × 300㎡ = 5,820万円となります。造成費控除により21万円の減額となります。宅地造成費の控除額自体は小さく見えるかもしれませんが、広い土地ほど効果が大きくなり、また他の補正率(不整形地補正等)と組み合わせればさらに評価額を下げられる可能性があります。
計算の流れがわかったら、次は雑種地評価で見落としやすい注意点を確認しましょう。
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相続税では、課税時期の現況に基づいて地目を判定します(現況主義)。 登記簿上は「畑」でも、現在は駐車場として利用していれば「雑種地」として評価されます。逆に、登記簿上「雑種地」でも、建物が建っていれば「宅地」として評価される場合があります。現況の把握が評価の出発点であり、最も重要なステップです。
固定資産税の納税通知書に記載されている地目と、相続税評価上の地目が一致しないケースは珍しくありません。固定資産税では「雑種地」と記載されていても、相続税では「宅地」として評価すべきケースや、その逆のパターンもあります。そのため、固定資産税の評価額をそのまま相続税の評価に流用することはできません。
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前章で解説した「宅地造成費の控除」について、適用できないケースがあります。すでにアスファルト舗装されている駐車場など、宅地としての造成がほぼ不要な状態の土地については、造成費の控除ができない場合があります。
注意点を確認したら、次は利用形態ごとの具体的な評価事例を見ていきましょう。
地主自身が直接利用者と契約して運営している月極駐車場は、土地の「賃貸借」ではなく「自動車を一時的に保管する施設の貸付け」と解されるため、土地に対する借主の権利(賃借権等)は認められません。したがって、自用地として評価されるのが原則です。 砂利敷きの駐車場であれば、前章の計算例のように宅地造成費の控除が可能な場合があります。
⚠️ 注意 月極駐車場は、土地を”貸している”ように見えますが、借地権や貸宅地のような評価減は適用されず、相続税の評価上は”自用地”として評価されるのが原則です。
駐車場運営会社に土地を一括で貸し付けてコインパーキングとして運営されている場合、一括借上げだからといって評価減になるとは限りません。実務では契約書を詳細に確認する必要があり、契約内容や土地利用権の内容によっては、賃借権の価額を控除して評価できるなど、評価方法が異なる場合があります。 また、一定の要件を満たせば「小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)」が適用できる可能性もあります。
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野立てのソーラーパネルが設置された土地は、原則として「雑種地」として評価されます。業者に土地を賃貸してソーラーパネルを設置している場合、賃借権が認められるかは契約内容次第です。また、借地権割合がある地域でもそのまま借地権控除できるとは限らないため注意が必要です。一方、自宅の屋根にソーラーパネルを設置している場合は、土地自体は「宅地」として評価されます。
建物がなく、現況が宅地・農地・山林等のいずれにも該当しない未利用の土地は、雑種地となることがあります。 ただし、宅地として利用されていた土地で建物を壊しただけであれば、現況は更地でも「宅地」になりますし、宅地として利用されている状況にある場合や、宅地として取引されている地域にある更地の場合は「宅地」として評価されるケースがあります。空き地の評価は現況と周囲の状況を総合的に判断する必要があるため、判断に迷う場合は税理士への相談をおすすめします。
自分で使用している資材置場は、自用地として評価されるのが原則です。第三者に賃貸している場合は、契約内容によっては賃借権の控除等により評価額が下がる可能性があります。
| 利用形態 | 原則的な評価 | 評価減の可能性 |
|---|---|---|
| 月極駐車場(自己運営) | 自用地として評価(原則) | 宅地造成費の控除(砂利敷き等の場合) |
| コインパーキング(一括貸付) | 契約内容や土地利用権の内容による | 賃借権控除の可能性あり(要個別判断) |
| 太陽光発電用地(業者に賃貸) | 雑種地評価 | 賃借権控除の可能性あり(要個別判断) |
| 空き地(未利用地) | 自用地として評価(原則) | 宅地造成費の控除 |
| 資材置場(自己使用) | 自用地として評価(原則) | 宅地造成費の控除 |
| 資材置場(第三者に賃貸) | 契約内容による | 賃借権控除の可能性あり(要個別判断) |
利用形態別の評価事例を確認したら、よくある質問もチェックしておきましょう。
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A. 建物がなく、現況が宅地・農地・山林等のいずれにも該当しない土地は雑種地となることがあります。ただし、宅地として利用されていた土地で建物を壊しただけであれば、現況は更地でも「宅地」になりますし、宅地として利用されている状況にある場合も「宅地」として評価されるケースがあります。空き地=雑種地とは限らないため、判断に迷う場合は税理士にご相談ください。
A. 建物がない独立した駐車場(月極駐車場・コインパーキング等)は、原則として「雑種地」として評価されます。建物が建っている土地とは異なり、「宅地」には該当しません。ただし、駐車場付きの建物の敷地は「宅地」として一体評価される場合があります。
A. 相続税の評価では、登記簿上の地目ではなく「課税時期(相続開始時)の実際の利用状況(現況)」で地目を判断します(現況主義)。登記簿上が農地でも、実際に駐車場として使用されていれば「雑種地」として評価されます。
A. 駐車場など宅地に近い利用状況の土地は、自治体の運用や利用状況によっては宅地に近い評価となる場合があります。そのため、農地や山林と比べると固定資産税が高くなるケースがあります。
A. 当事務所では、初回無料で雑種地を含む相続財産の評価・相続税のシミュレーションを承っております。ご依頼いただいた場合の費用についても事前にお見積もりを提示いたします。
雑種地の評価は、”現況主義”が原則になり、まず現地の利用状況を正確に確認することが第一です。自分で判断が難しい場合は専門家へ相談しましょう。
※本記事は一般的な解説です。個別の税務判断は税理士にご相談ください。
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