マンションを相続した場合の相続税は、マンション単体ではなく遺産全体の額で決まります。マンションの相続税評価額は「建物部分(固定資産税評価額)+土地部分(路線価×持分割合)」で計算し、一般的に市場価格の5〜8割程度です。基礎控除(3,000万円+600万円×相続人数)以下なら非課税です。
※本記事は一般的な解説です。個別の税務判断は税理士にご相談ください。
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「親のマンションを相続するけど、相続税はかかるの?」「いくらかかるの?」「何か節税する方法はあるの?」「手続きはどうすればいいの?」──マンションの相続に直面した方が最初に抱く疑問は、大きく分けてこの4つに集約されます。
マンション相続の税金は「評価」「計算」「非課税判定」「節税対策」「手続き」と論点が多岐にわたります。個別に調べようとすると情報が散在しており、かえって全体像が掴みにくくなりがちです。
本記事は、マンション相続に関する税金の全体像をワンストップで整理した「総合ガイド」です。6つのテーマごとに概要を解説した上で、さらに詳しく知りたい方にはテーマ別の専門記事へご案内しています。まずはこの記事で全体像を把握し、ご自身に関係するテーマから深掘りしてください。
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マンションの相続税評価額は、以下の2つを合算して算出します。
マンションは一戸建てに比べて敷地の持分割合が小さいため、土地部分の評価額が低くなりやすい傾向があります。これがマンションの相続税評価額が市場価格より低くなる理由の一つです。
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マンションの相続税評価額は、一般的に市場価格(売買価格)の5〜8割程度になることが多いとされています。ただし、物件のタイプ(タワーマンション・低層・築古など)、立地、築年数によって大きく異なるため、あくまで「一般的な目安」として捉えてください。
特にタワーマンションは、従来は市場価格の3〜4割程度と大きく乖離していたケースもありましたが、2024年改正で引き上げられるケースが増えています。
2024年(令和6年)1月以降の相続から、市場価格と評価額の乖離が大きいマンション(評価水準が0.6未満の物件)を対象に、「区分所有補正率」により評価額を引き上げるルールが導入されました。
具体的には、「①築年数」「②総階数」「③所在階」「④敷地持分狭小度」という4つの指標から「評価乖離率」を算出し、そこから求められる「評価水準(=1÷評価乖離率)」が0.6未満の場合に、評価額が引き上げられる仕組みです。
詳細な計算方法や具体的なシミュレーションは、以下の個別記事で解説しています。
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評価の仕組みがわかったら、次は相続税がいくらかかるかの計算方法を確認しましょう。
マンションを相続した場合の相続税額は、以下の4つのステップで計算します。マンション単体ではなく、遺産全体で税額が決まる点を最初に押さえておいてください。
まず、亡くなった方が残したすべての財産を合算して「正味の遺産額」を算出します。
上記を合計し、借入金や葬式費用を差し引いたものが「正味の遺産額」です。相続税は「マンション単体」ではなく「遺産全体」で計算されることを改めて強調しておきます。
正味の遺産額から、以下の計算式で求められる「基礎控除額」を差し引きます。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
正味の遺産額がこの基礎控除以下であれば、相続税はゼロ、申告も不要です。
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
基礎控除を超える部分(課税遺産総額)を、法定相続分で按分し、それぞれに累進税率(10%〜55%)を適用して相続税の総額を計算します。
【相続税の税率表】
| 法定相続分に応じた取得額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | ─ |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
ステップ③で算出した税額から、以下の控除を適用して最終的な納付額が確定します。
控除を適用した結果、税額がゼロになるケースも少なくありません。
【前提条件】
【計算結果】
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 正味の遺産額 | 5,200万円 |
| 基礎控除額 | ▲4,200万円 |
| 課税遺産総額 | 1,000万円 |
| 相続税の総額(税率10%) | 約100万円 |
| 配偶者の税額軽減適用後 | 配偶者:0円 / 子:約50万円 |
この事例では、配偶者は税額軽減により税額がゼロとなり、子が約50万円を納付するイメージです。
⚠️ 【注意】上記はあくまで概算です。 実際の税額はマンションの評価額、他の財産の構成、相続人の数・続柄、適用する控除・特例によって大きく異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。
税額計算の流れがわかったら、次は相続税がかからない(0円になる)ケースを確認しましょう。
マンションを相続しても相続税が0円になるケースは、実は少なくありません。代表的なケースを見ていきましょう。
遺産総額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」以下であれば、相続税は一切かかりません。この場合、税務署への申告も不要です。法定相続人が2人なら4,200万円、3人なら4,800万円が目安です。
配偶者が取得した財産が1億6,000万円(または法定相続分)まで非課税になる制度です。多くの家庭では、配偶者が取得する財産がこの範囲内に収まるため、配偶者分の相続税はゼロになるケースが多く見られます。ただし、この制度を適用するには相続税の申告が必要です。
マンションの敷地利用権(土地部分)について、被相続人の居住用であった場合、特定居住用宅地等として330㎡まで80%の評価減が適用できる可能性があります。この特例により基礎控除以下に収まれば、相続税はゼロになります。ただし、適用するには相続税の申告が必要です。
基礎控除以下の場合は申告不要ですが、配偶者控除や小規模宅地等の特例を適用して「結果的に0円」になる場合は、税務署への申告手続きが必須です。申告しないとこれらの特例が認められず、本来0円のはずの相続税が課税されてしまうリスクがあります。
⚠️ 【重要】配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用して相続税がゼロになる場合でも、税務署への申告手続きは必ず必要です。申告しなければ特例は認められません。申告期限(相続開始日から10ヶ月以内)を過ぎないようご注意ください。
マンション相続税がかからないケースの詳細な判定方法・具体例は、以下の記事で解説しています。
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マンション相続で使える主な評価減の制度を3つに整理します。「自分に使えるものがないか」を確認してみてください。
自宅として使用していたマンションの土地部分(敷地利用権)に対し、特定居住用宅地等として330㎡まで80%の評価減が適用できます。主な適用パターンは以下の通りです。
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賃貸用マンションの場合は、貸付事業用宅地等として200㎡まで50%の評価減が適用できます。ただし、相続開始前3年以内に貸付事業を開始した場合は原則対象外(いわゆる「3年縛り」)です。3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている場合などは例外的に認められるケースがありますが、個別の判断が必要です。
投資用マンションを第三者に賃貸している場合、土地部分は「貸家建付地」として、建物部分は「貸家」として評価され、自己利用の場合よりも評価額が下がります。
計算式の概要は以下の通りです。
貸家建付地の評価額 = 自用地評価額 ×(1 − 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)
借家権割合は全国一律30%です。借地権割合はA(90%)〜G(30%)で地域により異なります。たとえば借地権割合D(60%)の地域で満室の場合、「1 − 0.6 × 0.3 × 1.0 = 0.82」となり、18%の評価減が受けられます。
【整理表】マンション相続で使える評価減の制度一覧
| 制度 | 対象 | 減額率 | 限度面積 | 主な条件 |
|---|---|---|---|---|
| 小規模宅地等の特例(居住用) | 自宅マンションの土地部分 | 80% | 330㎡ | 配偶者・同居親族等が取得 |
| 小規模宅地等の特例(貸付用) | 賃貸マンションの土地部分 | 50% | 200㎡ | 貸付事業を継続(3年縛りに注意) |
| 貸家建付地の評価減 | 賃貸マンションの土地部分 | 約18〜24% | ─ | 第三者に賃貸していること |
| 貸家の評価減 | 賃貸マンションの建物部分 | 30% | ─ | 第三者に賃貸していること |
評価額を下げる制度がわかったら、次はマンション購入による節税対策について確認しましょう。
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まだ相続が発生していない段階で「マンション購入が節税になるのか?」と検討されている方もいらっしゃるでしょう。ここでは仕組みの概要とリスクの概要をお伝えし、詳細は専門の個別記事に委ねます。
現金1億円の相続税評価額は額面どおり1億円ですが、これを不動産(マンション)に換えると、相続税評価額は市場価格より低くなる場合があります。土地は路線価(おおむね公示価格の80%程度)、建物は固定資産税評価額で評価されるためです。
この「現金と不動産の評価差」を活用して、課税対象となる財産の評価額を圧縮するのが、マンション購入による相続税対策の基本的な仕組みです。自宅用・賃貸用・資産組み換えの3つの活用方法があります。
2024年の改正(区分所有補正率の導入)により、特にタワーマンションでは以前ほど大きな評価差が生まれにくくなりました。従来は市場価格の3〜4割程度だった評価額が、改正後は6割程度まで引き上げられるケースも出ています。
ただし、すべてのマンションで効果がなくなったわけではなく、物件の選び方や活用方法(自宅用で小規模宅地等の特例を併用するなど)によっては、依然として有効なケースもあります。
マンション購入による節税対策には、以下の3つのリスクがあります。
これらのリスクを踏まえ、マンション購入を検討する場合は、購入前の段階で税理士に相談すべきです。
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対策の概要がわかったら、次はマンション相続の手続きの流れを確認しましょう。
マンション相続の手続きは、税金だけでなく名義変更や管理費の承継など多岐にわたります。いつまでに何をすればよいのか、スケジュールを整理しました。
【マンション相続のスケジュール】
| 期限 | 手続き | 備考 |
|---|---|---|
| 3ヶ月以内 | 相続放棄の判断 | マンションの維持費・ローンが負担になる場合は検討 |
| 4ヶ月以内 | 準確定申告 | 被相続人の所得税の申告(賃貸収入がある場合) |
| 10ヶ月以内 | 相続税の申告・納税 | 特例適用時も申告が必須 |
| 期限なし(推奨:早め) | 相続登記(名義変更) | 2024年4月から義務化(3年以内) |
マンション特有の注意事項を整理します。
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A. いいえ、市場価格ではなく「相続税評価額」をもとに計算します。相続税評価額は建物部分(固定資産税評価額)と土地部分(路線価×持分割合)を合算して算出し、一般的に市場価格の5〜8割程度になります。不動産会社の査定額とは異なりますのでご注意ください。
A. はい、多くあります。遺産総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下であれば相続税はかかりません。また、基礎控除を超えても、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用して税額がゼロになるケースもあります。
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A. すべてではありません。評価額が引き上げられるのは、市場価格と評価額の乖離が大きいマンション(評価水準が0.6未満の物件)が主な対象です。高層階・築浅・都心部のタワーマンション等が該当しやすく、地方の築古マンション等は影響が少ない傾向があります。
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A. 2024年の改正により以前ほどの大幅な節税効果は見込めなくなりましたが、すべての効果がなくなったわけではありません。物件選びや活用方法(自宅用・賃貸用等)によっては依然として有効なケースもあります。ただし、相続直前の駆け込み購入は税務署から否認されるリスクがあるため、購入前に税理士へ相談されることを推奨します。
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A. 相続税の申告・納税の期限は、相続開始を知った日(通常は死亡日)の翌日から10ヶ月以内です。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用する場合は、期限内の申告が必須条件となります。
A. 当事務所では、マンションを含む相続財産の評価・相続税のシミュレーションを初回無料で承っております。特例の適用判定や節税対策のご提案、申告手続きまでワンストップで対応可能です。ご依頼いただいた場合の費用についても事前にお見積もりを提示いたします。
マンション相続の税金は、評価・計算・特例・対策・手続きと多くのテーマにまたがりますが、基本的な構造を理解すれば全体像が見えてきます。
マンションの評価額の計算や特例の適用について少しでも迷われた際は、過大申告や適用漏れを防ぐためにも、早い段階で相続税専門の税理士にご相談されることをおすすめいたします。
※本記事は一般的な解説です。個別の税務判断は税理士にご相談ください。
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