日本の遺言制度は、これまで本文の「自筆」と「押印」を効力発生の厳格な要件としてきました。しかし、2026年(令和8年)4月、日本政府はデジタル化や高齢化への対応として、遺言制度の抜本的な改革を盛り込んだ民法改正案を閣議決定しました。
今回の改正の最大の柱は、パソコン等で作成したデータによる遺言方式「デジタル遺言(保管証書遺言)」の新設です。ここでは、法務省の改正要綱案に基づき「デジタル遺言」制度について解説します。
目次
法務省の法制審議会が取りまとめた要綱案では、新しい遺言方式として「保管証書遺言」を規定しています。これは、パソコンやスマートフォン等で作成した電磁的記録(=デジタルデータ)を用い、法務局(遺言書保管所)が直接関与して作成・管理するものです。
デジタル遺言では、利便性が高まる反面、なりすましや改ざんというリスクを防ぐため、以下のプロセスが必要です。
以下のような場合は、デジタル遺言の活用が従来の遺言書よりも有利になる可能性が高いでしょう。
今回の改正は、新制度の創設にとどまらず、これまでの遺言の「当たり前」を大きく変える内容となっています。
| 項目 | 自筆証書遺言(改正後) | デジタル遺言(新設) | 公正証書遺言 |
|---|---|---|---|
| 作成方法 | 全文自筆 | PC・スマホ等 | 公証人が作成 |
| 押印(ハンコ) | 不要(廃止予定) | 不要 | 必要 |
| 本人確認 | 自己管理時はなし | 法務局が確認 | 公証人が確認 |
| 検認手続き | 必要 | 不要(予定) | 不要 |
改正で注目すべき点は、紙の自筆証書遺言においても「押印」を不要とする方針です。一見便利に思えますが、実務上では懸念点もあります。
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現在のところ、施工スケジュールは次のとおり予定されています。
遺言書のデジタル化は、利便性向上以上の「経済的メリット」が大きくなると思われます。
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デジタル遺言は万能ではありません。デジタル特有の課題を理解しておく必要があります。
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A. 今回の改正では、病状急変時(危急時遺言)について録音・録画による遺言も認められる見通しです。しかし、通常の保管証書遺言では「文字情報の入力」と「電子署名」が主軸となります。
A. 引き続き有効です。それどころか、「本人の意思」をより強固に示す証拠として機能するため、無理に押印のない形式へ書き直す必要はありません。
A. 手数料の詳細は今後確定しますが、一般的に公正証書遺言よりも安価に設定されることが期待されています。ただし、専門家への起案依頼費用は別途必要である点に注意してください。
A: デジタルデータの性質上、上書き修正(訂正印での修正など)という概念はありません。一部を変更したい場合でも、改めて新しい遺言データを作成し、再度「電子署名」と「法務局への保管申請」の手続きを行うことになります。
A: その心配を解消するための仕組みが導入される予定です。法務局の遺言書保管制度と同様に、遺言者が亡くなった際に、あらかじめ指定しておいた特定の相続人(1名など)に対して、法務局から「遺言書が保管されていること」を自動的に通知する「死亡時通知制度」の活用が想定されています。
2026年の民法改正による「保管証書遺言」の導入は、日本の相続実務における転換点です。紙と手書きの制約から解放されることで、より多くの人が自身の意思を正確な形で遺せるようになります。
しかし、手段が便利になっても「想いを正確に伝え、家族を守る」という本質は変わりません。最新の法制度を正しく理解し、専門家と連携しながら、デジタルという新しいツールを賢く活用していくことが重要です。
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