キャッシュレス決済が当たり前となった現代、私たちの財布の中身は「現金」から「デジタルデータ」へと変化しています。しかし、もし今、大切な家族が亡くなったとしたら、そのスマートフォンの中に残された「PayPay残高」や「Suicaのチャージ分」がどうなるかをご存知でしょうか?
「親のSuicaに残高が残っているけれど、相続税はかかるの?」
「給与をPayPayで受け取っていた場合、100万円を超える残高はどう手続きすればいい?」
このような疑問を持つ方は少なくありません。2026年にはキャッシュレス決済比率は60%を超えると予測されており、一人あたり平均1万円以上の残高を保有しているというデータもあります。一方で、これらの「目に見えない資産」の申告漏れが多発しているのが現状です。
ここでは、電子マネー相続の具体的な手続きフロー、税務調査で指摘される理由、および放置することで発生する「単純承認」(=借金を含む全ての財産を相続したとみなされること)のリスクまでを解説します。
目次
電子マネーは、物理的な通帳や証書が存在しないため、相続において非常に見落としやすい財産です。税務調査の現場では、この「デジタル遺産」の申告漏れが重点的にチェックされています。
「電子マネーだから分からないだろう」と考える方もいますが、それは誤解です。税務署は、故人の銀行口座の入出金履歴を過去数年分にわたって調査する権限を持っており、電子マネーへのチャージ履歴からその存在を特定できます。
また、2025年7月からは全国の国税局でAIを活用した税務調査選定が本格導入されており、電子マネーのようなデジタル資産の申告漏れは、従来以上に発見されやすくなっています。
注意が必要なのは、故人のスマホを使って残高を買い物などで消費してしまう行為です。これは法的に「相続財産の処分」とみなされ、単純承認が成立したと判定されるリスクがあります。単純承認となれば、故人に借金などの負債があった場合でも、それらを含めてすべて相続することを認めたことになり、後から「相続放棄」をすることができなくなります。
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すべてのキャッシュレス決済が相続の対象になるわけではありません。その仕組みによって、財産として計上すべきかどうかが異なります。
電子マネーは、資金決済法における「前払式支払手段」(=事前にチャージして使う決済方法)に該当するかどうかで判定されます。
| 分類 | 代表例 | 相続対象 | 評価額 |
|---|---|---|---|
| 前払い型 | PayPay、Suica(記名)、WAON | ○ | 残高そのまま |
| 即時払い型 | デビットカード | × | なし |
| 後払い型 | QUICPay、iD | × | なし |
| サービス | 相続の可否 | 手続き概要 |
|---|---|---|
| PayPay | ○ | 指定口座への銀行振込 |
| Suica | 記名○ / 無記名× | モバイルは退会、カードは駅窓口 |
| WAON | ○ | イオン銀行等での返金手続き |
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故人がどの電子マネーを使っていたかを特定するには、以下のステップで調査を行います。
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電子マネーの相続手続きは、オンラインと郵送を組み合わせた手順が一般的です。
電子マネーの相続税評価額は「死亡日当日の残高」をそのまま現金・預貯金として合算します。 相続税申告書には「手許現金」等として1円単位まで正確に記載する必要があります。
税務署はキャッシュレス決済の履歴を照会できます。意図的な隠境とみなされれば、重加算税(=悪質な申告漏れに対して課される35〜40%の追加税)の対象となるため、正確な申告が不可欠です。
ここでは電子マネーについての失敗事例と防ぐための対策をみていきましょう。
A. はい、必要です。税務署は金額の多寡ではなく「正確な申告」を重視します。
A. 原則としてできません。ポイントは多くの場合「一身専属的権利」(=本人のみに帰属する権利)とされ、死亡とともに失効します。
A. 5年以内であれば修正申告が可能です。税務調査を待つよりも、自主的な修正申告がペナルティを抑える鍵となります。
電子マネーの相続は、もはや避けては通れない現代の課題です。目に見えないからといって放置することは、税務上のリスクだけでなく、親族間のトラブルや相続放棄の権利喪失といった深刻な事態につながります。
当事務所では、デジタル資産を含めた相続税の申告・生前対策についても対応しております。下記お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
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