相続税評価額は、財産の種類ごとに調べ方が異なります。土地は路線価または倍率方式、建物は原則として固定資産税評価額、預貯金は死亡日時点の残高、株式は相続開始日の最終価格など、一定の価格のうち最も低い価額が基準です。自分でも概算の評価額を確認することは可能ですが、土地の形状補正や名義預金の判定など、専門的な判断が必要な場面も多いため、不安がある場合は税理士への相談をおすすめします。
※本記事は一般的な解説です。個別の税務判断は税理士にご相談ください。
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「相続が発生したが、財産の評価額をどうやって調べればいいのかわからない」「税理士に頼む前にまず自分で概算を把握しておきたい」と悩まれる方は少なくありません。 相続税評価額は、財産の種類ごとに国税庁が定めた異なるルールで計算するため、「一律の方法」で調べることはできません。
本記事では、どの財産について、どの資料を見て、どこで確認すればよいかを整理し、財産別の確認方法を解説します。
目次
相続税評価額を調べることで、「相続税がいくらかかるか」という計算の基礎になるだけでなく、「そもそも相続税の申告が必要かどうか」の判定基準となります。 また、遺産分割協議においても、各財産の価値を正確に把握するための重要な情報となります。
相続税評価額は「市場で売買される金額(市場価格)」とは異なり、国税庁が定めた独自のルールである評価基準に基づいて計算されます。 一般的に土地の相続税評価額(路線価)は公示価格の約80%が目安ですが、実際の市場価格との関係は物件によって異なります。不動産の相続税評価額は市場価格より低くなることが多いですが、一律ではありません。
土地、建物、預貯金、株式など、財産の種類によって国税庁が定めた評価方法は異なります。 種類別の詳しい評価方法については、後述の章で解説します。
相続税評価額を確認する場所や方法は、財産によって異なります。
土地:国税庁のホームページにある「路線価図・評価倍率表」で確認します。
建物:毎年送られてくる「固定資産税課税明細書」や、市区町村役場で取得する「固定資産評価証明書」で確認します。
預貯金:金融機関の窓口で「残高証明書」等を取得して確認します。
上場株式:証券会社の窓口やホームページで、相続開始日などの価格を確認します。
「相続税評価額の調べ方を自分で知りたい」という場合、財産ごとに手元にある資料や国税庁のデータを使うことで、自分でもある程度の概算を出すことは可能です。例えば、預貯金なら通帳の残高、土地なら路線価図の金額×面積で大まかな目安を把握できます(実際には各種補正が必要です)。
建物なら固定資産税課税明細書の評価額を見ることで、大枠の財産規模を把握できます。まずはこの概算を行い、基礎控除を超える可能性があるかどうかを判断するのが良いでしょう。
まずは亡くなった方の財産を網羅的に洗い出します。 洗い出すべき財産には、土地・建物・マンションなどの不動産、預貯金、株式・投資信託、生命保険金、死亡退職金、車、貴金属、ゴルフ会員権などがあります。 また、借入金・未払い医療費・葬式費用といったマイナスの財産も忘れずに把握する必要があります。
ステップ①で洗い出した財産について、それぞれの評価方法で金額を確認します。 財産によって使う資料も、確認先も異なるため、次章で詳しく解説します。
各財産の評価額を合計し、基礎控除額「3,000万円+600万円×法定相続人の数」と比較して、相続税の申告が必要かどうかを判定します。 合計額が基礎控除以下であれば、相続税はかからず申告も不要です。 超える場合でも、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例によって税額が軽減される場合があります。
土地の相続税評価額は、市街地などの場合は「路線価方式」、路線価が定められていない郊外などの場合は「倍率方式」で調べます。
確認資料:固定資産税課税明細書、路線価図・評価倍率表(国税庁HP)。
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建物(ご自身で使っていた家屋)は、原則として固定資産税評価額がそのまま相続税評価額の基準になります。 貸家や建築中の建物の場合は例外的な計算が必要です。
確認資料:固定資産税納税通知書(課税明細書)、または市区町村で取得する固定資産評価証明書
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マンションは「建物部分(専有部分)」と「土地部分(敷地利用権)」に分けて確認します。 2024年(令和6年)のルール改正により、一定の区分所有マンションを中心に、市場価格との乖離を是正する区分所有補正率という新しい評価計算が必要になる場合があります。
確認資料:固定資産税課税明細書、登記事項証明書
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預貯金は、死亡日時点の残高が評価額になります。 定期預金の場合は、解約したと仮定した際の「既経過利息」も確認する必要があります。
確認資料:金融機関の「残高証明書」「既経過利息計算書」(死亡日時点)。また、実務では名義預金がないかを確認するため、過去の「取引履歴」もあわせて取得し確認することがよくあります。
残高証明書はどう取得する?:亡くなった方の口座があった金融機関の窓口に、戸籍謄本などの相続人であることを証明する書類や金融機関が指定する本人確認書類等を持参して手続きを行います。
上場株式は、①相続開始日の最終価格、②相続開始月の最終価格の月平均、③相続開始月の前月の最終価格の月平均、④相続開始月の前々月の最終価格の月平均のうち、最も低い金額を評価額とします。
確認資料:証券会社で取得する「残高証明書」等。 非上場株式(同族会社の株式)の評価は、会社の規模等に応じた純資産価額方式や類似業種比準方式などを用いるため非常に複雑であり、税理士への相談を強く推奨します。
車:中古車市場における通常の取引価額を参考に評価します。業者査定はあくまで目安として利用します。
貴金属・骨董品:売買実例価額や、通常の取引価額、専門家の鑑定評価額を基準とします。
ゴルフ会員権:取引相場がある場合には、財産評価基本通達に基づいて評価します。
| 財産の種類 | 評価の基準 | 確認に必要な書類・情報 |
|---|---|---|
| 土地 | 路線価方式 or 倍率方式 | 固定資産税課税明細書、路線価図(国税庁HP) |
| 建物(自用家屋) | 原則として固定資産税評価額 | 固定資産税課税明細書 or 固定資産評価証明書 |
| マンション | 建物+土地(敷地利用権)に分けて評価 | 固定資産税課税明細書、登記事項証明書 |
| 預貯金 | 死亡日時点の残高 | 残高証明書、取引履歴(金融機関) |
| 定期預金 | 残高+既経過利息 | 残高証明書、既経過利息計算書(金融機関) |
| 上場株式 | 4つの最終価格等のうち最も低い金額 | 残高証明書(証券会社) |
| 車 | 中古車市場における通常の取引価額 | 業者の査定書等(目安として) |
| 貴金属・骨董品 | 売買実例価額、通常の取引価額、鑑定評価額 | 専門家の鑑定書等 |
| ゴルフ会員権 | 財産評価基本通達に基づく評価 | 取引相場の確認 |
財産ごとの調べ方がわかったら、次は自分で調べる際に間違えやすい注意点を確認しましょう。
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特に土地の場合、固定資産税評価額は公示価格の約70%、相続税評価額(路線価)は約80%と基準が異なるため、固定資産税評価額をそのまま使うと計算を間違えるリスクがあります。
⚠️ 【注意】 固定資産税課税明細書に記載されている評価額を、そのまま相続税の計算に使わないでください。特に土地は、固定資産税評価額と相続税評価額で基準が異なります。
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不動産会社の売却査定額は「市場で売れそうな金額」であり、相続税の計算で使う評価額とは別物です。 市場価格をそのまま相続税評価額として用いると、本来の評価額より高くなる場合があります。 特にマンション改正後などは市場価格に近い評価となることもありますが、必ず所定のルールに従って計算することが大切です。
子どもや孫の名義であっても、実質的に亡くなった方が管理・出資していた預金は「名義預金」として相続財産に含まれる可能性があります。 税務調査で最も指摘されやすいポイントの一つです。
法改正により、暦年贈与の持ち戻し期間が従来の3年から段階的に7年へ延長されています。 相続開始前7年以内(経過措置あり)の生前贈与は相続財産に加算されるため、加算漏れに注意が必要です。
評価額を大きく下げられる制度や補正を見落とすと、本来より多くの相続税を支払うことになります。 小規模宅地等の特例(最大80%減額)、不整形地・間口狭小地の補正、貸家建付地の減額などが見落としやすいポイントです。
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注意ポイントを確認したら、次は評価額を調べた後に確認すべきことを整理しましょう。
基礎控除額「3,000万円+600万円×法定相続人の数」と比較し、合計額がこれを超えなければ相続税の申告は不要です。
基礎控除を超える場合は相続税の申告が必要になります。申告期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」です。 なお、評価額が基礎控除以下で相続税申告が不要な場合でも、亡くなった方の所得税の精算である「準確定申告」など、他の手続きが必要になることがありますのでご留意ください。
基礎控除を超えていても、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を活用できれば、税額がゼロや大幅に軽減される場合があります。 ただし、特例を適用して税額が0円になる場合でも申告自体は必要です。
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申告の要否を確認したら、次は自分で計算した結果が正しいかどうかを確認する方法を見てみましょう。
自分で計算した結果が正しいか、以下の視点で見直してみてください。
評価額を高く申告してしまう「過大申告」による払いすぎや、低く申告してしまう「過少申告」による追徴課税のリスクを避けるためにも、自分で計算した結果を税理士にチェックしてもらうことをお勧めします。
自分でのチェック方法を確認したら、最後に税理士に依頼すべきケースを確認しておきましょう。
以下のいずれかに該当する場合は、自分だけで正確な評価額を算出するのが難しいため、専門家である税理士に相談することをお勧めします。
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A. 預貯金の残高や建物の固定資産税評価額など、比較的簡単に確認できる財産もあります。ただし、土地の路線価による計算や各種補正、マンションの区分所有補正率の計算などは専門的な知識が必要です。大まかな目安を把握することは可能ですが、正確な評価額の算定は税理士に依頼することをお勧めします。
A. 主に以下の書類が必要です。不動産:固定資産税課税明細書・登記事項証明書。預貯金:金融機関の残高証明書・取引履歴。株式:証券会社の残高証明書。いずれも「死亡日(相続開始日)」時点の情報が基準になります。
A. 国税庁のホームページ「路線価図・評価倍率表」で無料で閲覧できます。毎年7月1日に最新版が公表されます。
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A. 建物(自用家屋)については、原則として固定資産税評価額がそのまま基準になります。しかし、土地については固定資産税評価額と相続税評価額は基準が異なるため、そのまま使うことはできません。
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A. 評価額を低く申告した場合は、追徴課税(過少申告加算税・延滞税)が課されるリスクがあります。逆に高く申告した場合は、本来より多くの税金を支払ってしまうことになります(更正の請求で取り戻せる場合もあります)。
A. 当事務所では、初回無料でご相談・評価額のチェックを承っております。正式にご依頼いただいた場合の費用についても、事前にお見積もりを提示いたします。
初回のご相談・課税診断は無料ですので、おひとりで悩まずにお気軽に下記のお問い合わせフォームよりご連絡ください。
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