未登記建物を相続したらどうする?手続きの流れ・費用・放置のリスクを解説

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未登記建物を相続したらどうする?手続きの流れ・費用・放置のリスクを解説

「親が亡くなり、実家を相続することになった。しかし、調べてみると建物の権利証(登記済証)がない…… 市役所からは毎年固定資産税の通知が来るのに、法務局には記録がないと言われた。一体どういうこと?」

 

遺品整理や相続手続きの中で、このような「未登記建物」の事実に直面し、途方に暮れる方は少なくありません。実は、古い家屋や地方の物件では、建物が登記されていないケースは決して珍しいことではないのです。

 

しかし、「今まで税金を払ってきたから大丈夫だろう」と放置するのは非常に危険です。2024年4月からは相続登記の申請義務化もスタートしており、未登記のままにしておくことは将来的に大きなリスクになります。

 

ここでは、未登記建物を「正式な資産」に変えるための具体的なステップを、費用・必要書類・放置した場合のリスクと共に詳しく解説します。

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なぜ「未登記建物」が存在するのか?

多くの人は「不動産を所有していれば、当然登記されているはず」と考えています。しかし、現実には登記されていない建物が日本全国に数多く存在します。

市役所(税金)と法務局(登記)の情報は連動していない

「固定資産税を払っているから登記されているはずだ」というのは誤解です。

  • 市役所(自治体):航空写真や実地調査を行い、建物が存在すれば登記の有無にかかわらず「課税」します。未登記建物は「家屋補充課税台帳」という専用リストで管理されています。
  • 法務局:所有者からの「申請」があって初めて登記簿を作成します(申請主義)。

つまり、「市役所は建物を把握して税金を取っているが、法務局には一切記録がない」というズレが生じているのです。

未登記になる主な理由

  • 昔の現金建築:住宅ローンを利用せず自己資金で建てた場合、金融機関から登記を求められないため、そのまま登記されずに何十年も経過してしまうケース。
  • 増改築の未届出:建物本体は登記されていても、後から増築した部分を届け出ず、固定資産税だけが加算されているケース。
  • 建て替え時の手続き漏れ:古い建物を壊して新築した際、旧建物の「滅失登記」と新建物の「表題登記」の両方を怠ったケース。

自分の家が未登記かどうかの確認方法

以下の2つの書類を突き合わせることで確認できます。

  1. 名寄帳(なよせちょう):市役所で取得できる、故人が所有していた不動産の一覧。ここに建物の記載があるか確認します。
  2. 登記事項証明書(登記簿謄本):法務局で発行される公的書類。

名寄帳に建物が載っているのに、法務局で「家屋番号がない」「証明書が発行できない」と言われた場合、その建物は未登記です。

未登記建物を相続する際の「二段階手続き」

未登記建物を相続して自分名義にするには、通常の相続登記とは異なり、2つのステップを踏む必要があります。

ステップ1:建物表題登記(土地家屋調査士の領域)

まず、「この世に建物が存在すること」を法務局に初めて登録します。これを「建物表題登記」と言います。

  • 内容:建物の所在、種類(居宅など)、構造(木造2階建てなど)、床面積といった物理的な情報を確定させ、登記簿の「表題部」を新規作成します。
  • 担当する専門家:測量や図面作成のスキルを持つ「土地家屋調査士」

ステップ2:所有権保存登記(司法書士の領域)

表題部ができただけでは、まだ「誰のものか」という権利関係は記録されていません。

  • 内容:対象建物の所有権を確定させる「所有権保存登記」を行います。相続のケースでは、相続人が直接自分名義で保存登記を行う方法が一般的です。
  • 担当する専門家:権利関係のプロである「司法書士」

この「土地家屋調査士 → 司法書士」という二段階のステップが、未登記建物の相続登記の特徴です。

「古い建物」で図面がない時の対処法

未登記建物の登記で苦労するのが「所有権を証明する古い書類」の収集です。

基本となる書類

通常は新築時に発行される以下の書類が必要です。

  • 建築確認済証・検査済証:市役所等に建築申請をし、許可を得たことを示す書類。
  • 工事完了引渡証明書:施工業者が発行した、建物を引き渡した証明。

書類がない場合の「代用書類」

築数十年の古い建物では、上記の書類を紛失しているケースがほとんどです。その場合、土地家屋調査士は以下の書類を組み合わせて「建物の存在と所有の事実」を立証します。

  • 固定資産税の領収書・評価証明書:長年税金を払ってきた証拠。
  • 公共料金(電気・ガス・水道)の開栓記録・領収書:実際にその建物を使用していた記録。
  • 火災保険証書:建物として保険が掛けられていた記録。
  • 上申書(じょうしんしょ):書類がない理由と、間違いなく自分(または故人)の所有物であることを述べる書類。必要に応じて近隣住民の証明を添えることもあります。

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未登記建物の相続にかかる「費用」の目安

未登記建物の手続きは、通常の相続登記よりも工程が多いため、費用も高くなる傾向があります。

費用 目安の金額 備考
土地家屋調査士報酬 8万〜15万円 図面がない古い建物は15万〜20万円以上も
司法書士報酬 5万〜10万円 所有権保存登記+相続関連
登録免許税 評価額 × 0.4% ステップ1(表題登記)は非課税
実費(戸籍等) 数千円〜1万円 郵送料・証明書発行手数料含む
トータルの目安 15万〜30万円 一般的な戸建て住宅の場合

※土地の相続登記が別途必要な場合は、その費用も加算されます。

未登記のまま放置する4つのリスク

「今まで困らなかったから、このままでもいいのでは?」という考えは危険です。

1. 売却・買い替えができない

建物を売却する際、買主の多くは住宅ローンを利用します。銀行は担保となる建物が登記されていないと融資を実行しません。売却直前に未登記が発覚し、契約が破談になるケースは珍しくありません。

2. 火災保険や融資の制限

未登記でも火災保険に加入できる場合はありますが、万が一の際に所有者の特定が困難になり、保険金の支払いがスムーズにいかないおそれがあります。リフォームローンも、登記がないと組めないケースがほとんどです。

3. 二重の罰則リスク

2024年の相続登記義務化により、不動産を取得したことを知ってから3年以内に登記をしないと、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

さらに見落とされがちですが、建物表題登記そのものにも「取得から1ヶ月以内に行う義務」が不動産登記法で定められており、こちらも怠ると10万円以下の過料に処されると規定されています。つまり、未登記建物を相続して放置すると、「表題登記」と「相続登記」の二重の義務違反に問われるリスクがあるのです。

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4.小規模宅地等の特例への影響

税務面で問題なるのが相続税の「小規模宅地等の特例」です。この特例は、居住用の土地の評価額を最大80%減額できる非常に強力な制度ですが、適用には「その土地の上に建物があり、被相続人が居住していた実態」を証明する必要があります。

建物が未登記であることで「建物の存在が不明確」とみなされ、特例の適用について税務署から疑問を呈されるリスクが生じます。「未登記=適用不可」ではありませんが、確実に特例を適用するためにも、建物の登記を整えておくことが重要です。

誰に相談すべき?ベストな相談タイミング

未登記建物の問題は、「測量・物理的登録(土地家屋調査士)」「権利の確定(司法書士)」「税務申告(税理士)」という3つの異なる専門領域が重なり合っています。

 

アドバイス:相続人同士で「誰が何を継ぐか」という遺産分割協議にハンコを押す前に相談してください。
未登記建物の存在を織り込んだ遺産分割協議書を作成しないと、後から書類をすべて作り直すことになり、手間も費用も余計にかかります。。

 

当事務所のように、司法書士・土地家屋調査士と提携している税理士事務所であれば、税金対策から登記手続きまでをワンストップで対応できるため、最も安全で効率的です。

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よくある質問(FAQ)

Q:取り壊す予定の古い家でも登記は必要ですか?

A:相続後すぐに取り壊すのであれば、新たに表題登記をする必要はありません。ただし、建物がなくなったことを自治体に知らせる「家屋滅失届」を市役所に提出してください。これを忘れると、建物が存在しないのに固定資産税が請求され続けます。

Q:物置やガレージが未登記だった場合は?

A:コンクリートブロックの上に置いただけのプレハブ物置などは登記不要ですが、基礎があり「土地への定着性」や「外気分断性(屋根や壁がある)」を満たすガレージ等は登記が必要です。判断が難しい場合は土地家屋調査士に確認しましょう。

Q:登記費用が建物の価値より高くなりそうな場合はどうすればいいですか?

A:建物の価値がゼロに近い場合でも、そのまま放置すると土地の売却ができず、将来の相続人に「負動産(ふどうさん)」を押し付けることになります。将来の売却・活用を見据え、今の代で整理しておくことをお勧めします。

Q:増築部分だけが未登記の場合はどうなりますか?

A:建物本体が登記されていれば、床面積や構造を変更する「建物表題部変更登記」を行います。これも土地家屋調査士の業務であり、売却や融資の際には必須の手続きです。

Q:未登記建物の登記費用は、相続人の誰が負担するのが一般的ですか?

A:基本的には「その建物を相続する人」が負担することが多いですが、遺産分割の話し合い次第で柔軟に決めることができます。

まとめ

未登記建物は「放置」することが一番のコスト増につながります。時間が経つほど関係者が増え、古い書類は散逸し、手続きはどんどん困難になっていきます。

 

まずは、市役所の「名寄帳」と法務局の「登記事項証明書」を見比べて、ズレがないか確認してみてください。もしズレが見つかったなら、それが専門家の力を借りるべきサインです。

 

大切な資産を次の世代に不安なく引き継ぐために、土地家屋調査士や司法書士の無料相談を活用し、解決への第一歩を踏み出しましょう。

 

当事務所では、提携の司法書士とワンスポットでの相続サポートをご提供しております。不動産の相続でお困りの際は、下記お問い合わせフォームより、お気軽にご相談ください。

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※本記事の内容は、2026年4月時点の法令・情報を基に作成されています。個別の案件については、必ず司法書士や税理士等の専門家にご確認ください。

 

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渡邉 優

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この記事の執筆者:渡邉 優

「渡邉優税理士事務所」代表。相続の中でも“不動産にお困りごとを抱える相続”の対応を得意としている。

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