不動産を相続した際に避けて通れない「相続登記(名義変更)」2024年4月から義務化され、正当な理由なく放置すると過料が科される可能性があるため、早めの対応が求められています。
この手続きで必ず発生する費用が「登録免許税」です。司法書士に依頼しても自分で申請しても、国に納めるこの税額自体は変わりません。登録免許税については、評価額が低い土地の免税措置が2027年(令和9年)3月31日まで延長されたことは、節税の面でのポイントになります。
ここでは、はじめての方でも1円単位まで正確に税額を試算できるよう、計算手順・端数処理のルール・最新の免税措置について詳しく解説します。
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目次
登録免許税とは、不動産の所有権を登記する際に国へ納める税金です。
相続や遺贈(相続人が受け取る場合)によって不動産を取得した際の税率は、課税標準額の0.4%(1,000分の4)です。一般的な「売買」や「贈与」による名義変更の税率は2.0%であるため、相続は5分の1の負担で済むよう設定されています。
ただし、相続人以外の人が遺贈で取得する場合(例:長年世話をしてくれた内縁の妻、孫など)は、税率が2.0%に跳ね上がるため注意が必要です。遺言書で法定相続人以外に不動産を遺すケースでは、遺言の書き方(「相続させる」か「遺贈する」か)によっても税率が変わるため、事前に専門家へ確認しておくことをお勧めします。
登録免許税を計算する際の基準(課税標準額)は、不動産の「売買価格」や「時価」ではありません。各自治体が管理する「固定資産課税台帳」に登録された「固定資産税評価額」を使います。
この評価額は実勢価格(市場で売れる値段)の約7割程度に設定されているのが一般的です。
原則として、その不動産を登記によって取得する相続人が納税義務を負います。遺産分割協議で特定の相続人が引き継ぐと決まった場合、その人が負担するのが一般的です。
登録免許税の計算には、法律で定められた厳格な「端数の切り捨てルール」があります。以下の4ステップで、正確な金額を算出しましょう。
まず、相続する不動産の固定資産税評価額を確認します。複数の不動産(土地と建物など)を1通の申請書でまとめて登記する場合は、それらの評価額をすべて合算します。
ステップ1で出した課税標準額に、相続の税率「0.004(0.4%)」を掛けます。
算出された金額に100円未満の端数がある場合、その端数を切り捨てます。
もし計算結果が1,000円未満になった場合は、一律で1,000円を納めます。
評価額が非常に低い田畑や山林などで、計算上の税額が数百円になっても、最低1,000円はかかることを覚えておきましょう。
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毎年4〜6月頃に役所から届く「固定資産税の納税通知書」に同封されている「課税明細書」で確認できます。ここで最も多いミスが、課税明細書に並ぶ複数の金額欄のうち、どの数字を使うのかを間違えることです。
「課税標準額」という名前が紛らわしいのですが、こちらは固定資産税そのものの計算に用いる数値であり、住宅用地の軽減措置などが反映された金額です。登録免許税の計算には必ず「価格(評価額)」の欄を使用してください。
登録免許税の計算には、登記申請日時点での「最新年度」の評価額を使わなければなりません。
固定資産税の年度は4月1日〜翌年3月31日です。例えば、2026年3月に取得した「2025年度」の証明書を持っていても、申請が2026年4月1日以降になる場合は、新しい「2026年度」の証明書を取り直す必要があります。
亡くなった方が不動産を誰かと共有していた場合は、全体の評価額に持分割合を掛けて計算します。
長期間放置された相続登記を解消するため、土地に限り強力な免税措置が用意されています。これらは2027年(令和9年)3月31日まで延長されています。
不動産1筆(土地の登記単位)あたりの評価額が100万円以下の土地については、相続登記の登録免許税が全額免除されます。
「祖父が亡くなったが名義変更しないまま父も亡くなり、自分が相続した」というケース(数次相続)の救済策です。
本来は「祖父→父」「父→自分」と2回分の登記と税金が必要ですが、この特例により1回目(祖父→父)の登記にかかる登録免許税が免税となります。
これらの免税措置は、申請書に所定の「根拠条文」を記載しなければ適用されません。 法務局が自動的に免税にしてくれるわけではないのです。
※法改正により条文番号が変更される場合があるため、申請時に法務局のウェブサイト等で最新の記載例を確認してください。
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税額が確定したら、登記申請時に以下の方法で納付します。
最も一般的な方法です。法務局や郵便局で購入した収入印紙を「収入印紙貼付台紙」に貼り、申請書と一緒に提出します。
重要:貼り付けた印紙に消印(割り印)をしてはいけません。消印は法務局側が行うものであり、自分で押してしまうと無効になるおそれがあります。
自宅からパソコンで申請する場合は、Pay-easy(ペイジー)などを利用してインターネットバンキングから電子納付が可能です。窓口へ出向く手間が省けるため、近年利用が増えています。
支払った登録免許税は、将来その不動産を売却した際の「譲渡所得税」の計算において、「取得費」として経費に算入できます。申請書の控えや領収書は、将来の節税のために大切に保管しておきましょう。
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具体的なケースで、実際にいくらかかるか見てみましょう。
マンション(敷地権付き区分建物)は、建物部分と土地部分(敷地権)を合算します。
| ステップ | 計算内容 | 金額 |
|---|---|---|
| 合算 | 建物 + 敷地権 | 55,555,555円 |
| 課税標準額 | 1,000円未満切り捨て | 55,555,000円 |
| 税率適用 | × 0.4% | 222,220円 |
| 最終税額 | 100円未満切り捨て | 222,200円 |
| 不動産 | 評価額 | 免税判定 | 登録免許税 |
|---|---|---|---|
| 土地 | 80万円 | ✅ 100万円以下で免税 | 0円 |
| 建物 | 120万円 | ❌ 建物は対象外 | 4,800円 |
| 合計 | 4,800円 |
※建物の計算:1,200,000円 × 0.4% = 4,800円(100円未満の端数なし)
固定資産税が非課税の私道であっても、登録免許税は別途かかります。評価額が台帳に載っていない場合は、「近傍宅地単価」の30%を用いて評価額を算出します。
A:いいえ。 固定資産税が非課税(公衆用道路など)の不動産でも、登記の際には「近傍宅地単価」による評価額の算出が必要です。ただし、算出した額が100万円以下であれば、免税措置により0円にできる可能性があります。
A:はい。 法務局に「還付通知請求・申出書」を提出すれば、過払い分は返金されます。ただし、還付には時間がかかるため、事前に正確な税額を算出しておくことが大切です。
A:建物の評価額が極めて低い場合でも、計算上の税額が1,000円未満であれば最低額の1,000円を納める必要があります。なお、建物は評価額がいくら低くても「100万円以下の免税措置」の対象外ですのでご注意ください。
相続登記の登録免許税は、「固定資産税評価額 × 0.4%」が基本です。ただし、1,000円未満・100円未満の端数処理ルールや最低税額1,000円のルールを正しく理解しておく必要があります。
登録免許税の節約ポイントは、2027年3月末までの免税措置を漏れなく適用することです。特に「100万円以下の土地」や「数次相続」に該当する場合は、申請書に根拠条文を必ず記載しましょう。記載を忘れると免税が受けられず、本来払わなくて済んだ税金を納めることになってしまいます。
計算が複雑な場合や、自分の不動産が免税対象かどうか判断がつかない場合は、早めに法務局の相談窓口や司法書士などの専門家へ相談することをお勧めします。
当事務所では、提携の司法書士とワンスポットでの相続サポートをご提供しております。不動産の相続でお困りの際は、下記お問い合わせフォームより、お気軽にご相談ください。
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※本記事の内容は、2026年4月時点の法令・情報を基に作成されています。個別の案件については、必ず司法書士や税理士等の専門家にご確認ください。
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