【相続土地国庫帰属制度】不要な土地は本当に国に引き取ってもらえる?実用性と注意点を解説属制度は実用的かどうかを解説!

【相続土地国庫帰属制度】不要な土地は本当に国に引き取ってもらえる?実用性と注意点を解説属制度は実用的かどうかを解説!

相続土地国庫帰属制度は、「相続した不要な土地を国に引き取ってもらえる制度」として注目されています。

 

しかし結論から言うと、この制度は 誰でも簡単に利用できる制度ではなく、実際に利用できるケースはかなり限定的です。

「不動産を国に渡せば解決」と考えて申請すると、
・要件を満たさず却下される
・想定以上の費用がかかる
といったケースも少なくありません。

 

ここでは、相続土地国庫帰属制度の仕組みだけでなく、本当に実用的なのか、どんな土地なら使えるのか、使えない場合の現実的な代替策まで含めて解説します。

 

相続土地国庫帰属制度は土地を国に寄付できる制度

相続土地国庫帰属制度とは、土地を国に寄付できる制度です。相続人にとって不要な土地、いわゆる「負動産」を国が引き取ってくれます。ただし、どんな土地でも国が引き取ってくれるわけではありません。

 

後で解説しますが、国庫帰属できる土地には要件があり、また費用も発生するため「要らない土地を相続したから国に引き取ってもらおう」と、安易な考えで利用できる制度とは言い難い制度になっています。

 

 

相続土地国庫帰属制度が創設される背景

この制度が創設される背景には「所有者不明土地問題」があげられます。近年、土地の所有者が亡くなり相続が発生しても相続登記がされず、土地の所有者が誰なのかが分からないケースが増加しており、土地開発や公共事業などへの大きな障壁になっています。

 

この問題を解消するために、相続登記の義務化や相続土地国庫帰属制度の新設などの見直しが行われています。

 

相続土地国庫帰属制度と相続放棄との違い

「不要な土地なら相続放棄すればいいのでは?」と考えられる方もいらっしゃると思います。確かに、相続人全員が相続放棄を行うことで、相続人が不在となった相続財産は最終的に国庫に帰属されます。(民法第959条)

 

しかし、相続放棄を行うと財産と債務の全ての相続を放棄することになるため、不要な土地のみを相続放棄することはできません。一方、相続土地国庫帰属制度では不要な土地のみを国庫に帰属させることが可能です。

 

また、相続放棄した財産は、相続放棄した人による管理義務が規定されています。(民法第940条第1項)相続土地国庫帰属制度では、負担金を支払い、土地を国庫に帰属させるため管理義務は発生しません。

 

制度への申請ができる人

相続土地国庫帰属制度へ申請できる人は「相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により土地の所有権又は共有持分を取得した者等」に限られています。具体的には、次の5つのパターンになります。

 

<単独所有の場合>

 

 

 

<共有所有の場合>

 

 

 

(出典:法務省「相続土地国庫帰属制度①(概要)」

 

土地の単独所有、共有に関わらず相続又は遺贈により取得した人がこの制度を申請することができます。(図①~④)特殊なケースとして、相続又は遺贈により取得した人でなくても、相続又は遺贈により取得した人が共有者におり、その人と共同申請することで、その人もこの制度の申請が可能になります。(図⑤)

 

実務上、この制度が利用できるかどうかの分かれ目は「国がその土地を将来にわたって管理できるかどうか」です。

言い換えると、
・建物がある
・境界が不明
・草木・残置物がある
・崖や傾斜がある

といった いわゆる“処分に困る土地”ほど、制度の対象外になりやすいのが実情です。

 

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対象になる土地

相続土地国庫帰属制度は、どんな土地でも対象になるわけではありません。国側も「土地の管理コストの国への不当な転嫁」や「モラルハザードの発生の防止」を行わなければならないため、申請却下要件と不承認要件を設けています。次の要件に該当しない土地が制度の対象になります。

 

【却下要件】

①建物の存する土地

②担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地

③通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地

④土壌汚染対策法上の特定有害物質により汚染されている土地

⑤境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地

 

【不承認要件】

①崖(勾配、高さその他の事項について政令で定める基準に該当するものに限る。)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの

②土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地

③除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地

④隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地として政令で定めるもの

⑤上記のほか、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるもの

 

費用が高額になる可能性がある

相続土地国庫帰属制度では、審査手数料と負担金を支払わなければなりません。

負担金については、原則20万円となっています。ですが、例外として面積に応じて負担金を算定するものがあります。例えば、「一部の市街地の宅地、田、畑」や「農用地区域等の田、畑」や「森林」などが該当します。市街地の宅地(200㎡)であれば約80万円程度となります。

 

現時点では、審査手数料は土地1筆につき14,000円と定められています。また、土地に建物がある場合は建物の解体費用、必要によっては境界の確定測量や土地の土壌汚染調査が必要になる可能性もあるため、費用の合計が数百万円かかってしまうなど、費用が高額になってしまうおそれがあります。

 

制度を利用するためには法務大臣の審査が必要

この制度を利用するためには、法務大臣(法務局)による要件審査・承認をパスする必要があります。法務局が実地調査権限を有し、国有財産の管理担当部局等に調査への協力を求めることができます。また、申請者が実地調査に協力的ではない場合には申請が却下されることもあります。

 

不動産業者に売却すれば負担金も法務大臣による審査も必要なし

相続土地国庫帰属制度は、不要な土地を相続する人にとっては画期的な制度であるものの、負担金や解体費用などの金銭的負担が大きくかかる制度であることは確かです。

 

相続で不要な土地を相続する可能性がある場合は、この制度の利用を検討する前に不動産業者へ相談されることをお勧めします。不動産業者への売却であれば、一定の期間が必要とされる法務局の審査や高額な負担金は必要ありません。

 

また、土地の状況によっては思っていたよりも高値で売却できる場合もあります。手続きについても、土地売買の専門家が担当するため、手間がかかることをご自身でする必要はありません。

 

 

Q&A

Q.相続土地国庫帰属制度は誰でも利用できますか?

A.いいえ。建物がある土地や境界不明の土地など、そもそも申請が受理されない(却下事由に該当する)多くの土地は却下・不承認になります。

 

Q.本当に20万円で土地を手放せますか?

A.原則20万円ですが、解体費用や測量費用が別途かかるケースが多く、実際の負担は高額になりがちです。

 

Q.不要な土地はまず何を検討すべきですか?

A.国庫帰属の前に、売却や相続放棄など他の選択肢と比較検討することが重要です。

 

相続した不要な土地のご相談もお任せください!

不動産の相続は、相続の知識と不動産の知識が必要になる専門性の高い相続です。当事務所は、相続税申告のみならず、その後の不動産の売却やコンサルティングまでサポートしております。

 

不要な土地を相続する場合であっても、お客様にとって最善の方法を考え、ご提案させていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。

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渡邉 優

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この記事の執筆者:渡邉 優

「渡邉優税理士事務所」代表。相続の中でも“不動産にお困りごとを抱える相続”の対応を得意としている。

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