【親と同居で税金がお得に?】親と同居した際の税金について徹底解説!

【親と同居で税金がお得に?】親と同居した際の税金について徹底解説!

高齢の親の介護などの理由により「親との同居」を検討されている方は少なくないと思います。
親と同居することは経済面や家事、介護の他に「税制面でのメリット」があります。

ここでは、親と同居する際に節税になる税金について詳しく解説します。両親の老後を考えられている方はぜひ最後までお付き合いください。

 

1.親と同居すると3つの税金を節税できる

親と同居すると3つの税金を節税できる可能性があります。同居で節税できる状況とは「生計を一にしている状況」のことであり、一般的な感覚の同居とは少し異なります。

税務上の「生計を一にしている状況」とは、次のような状態だと解釈されます。

 

1.物理的な同居の有無は問わない

2.同居の場合は家計(財布)が共通していること

3.別居の場合は生活費などの仕送りがあること

 

では、親と生計を一にしている状況になった場合、どのような税金が節税できるのか見ていきましょう。

 

自宅を売却する際の所得税(譲渡所得)の節税

親と同居するために、今住んでいる自宅を売却するケースは少なくありません。居住しない家をそのままにしておくと「空き家のリスク」が発生します。

空き家になると、老朽化が進みスズメバチなどの有害生物が住み着いたり、犯罪に利用されたりしてしまうリスクがあります。また、空き家のまま放置してしまうと「特定空き家」に認定され、固定資産税の負担が大きく増加してしまいます。

空き家のまま放置しないためにも、親の自宅の売却は有効な方法です。そして、売却の際に利用できる税務上の特例が「居住用財産の3,000万円控除」です。

 

2-1.居住用財産の3,000万円控除が利用できる

自宅を売却すると、売却収入から取得費や譲渡費用を差し引いた売却益(譲渡所得)に所得税と住民税が課税されます。しかし、この特例を利用すると、売却益が3,000万円以下であれば所得税と住民税が課税されず、最大で約600万円(3,000万円×税率20%)もの税金を減らすことができます。

居住用財産の3,000万円控除については、こちらの「居住用財産の3,000万円控除の活用方法!!」で詳しく紹介していますので、ご覧ください。

 

10年超所有軽減税率の特例も併用可能

10年を超えて居住していた自宅を売却する場合には「10年超所有軽減税率の特例」を利用することができます。10年超所有軽減税率の特例を利用すると、長期譲渡所得(5年超保有)の税率20.315%(所得税15.315%、住民税5%)を6,000万円までの譲渡所得について14.21%(所得税10.21%、住民税4%)へと6.105%も税率を軽減することができます。

 

原則 10年超所有軽減税率の特例
長期譲渡所得の税率 所得税15.315%+住民税5%=20.315% 所得税10.21%+住民税4%=14.21%

 

10年超所有軽減税率の特例は、居住用財産の3,000万円控除との併用が可能です。併用することでさらに所得税、住民税の負担を減らすことができます。

親を扶養に入れることで所得税・住民税の節税

親と同居(生計を一であること)することで、税務上の扶養にすることができ、税務上の扶養にすると年末調整、確定申告で扶養控除を所得から差し引けます。扶養控除を受けることで所得税と住民税の税額が軽減されます。

 

・扶養親族⇒親の年齢が70歳未満の場合 控除額38万円

・老人扶養親族⇒親の年齢が70歳以上の場合 控除額48万円

・同居老親等⇒所得者等の直系尊属の老人扶養親族で同居を常況としている場合 控除額58万円

 

親に年金収入がある場合は扶養にできる?

扶養になれる親族は合計所得金額が48万円以下の人に限定されています。公的年金には一定の控除額があり、年金収入からその控除額を差し引いた金額が所得になります。親が公的年金のみの収入であった場合、年間に受け取る年金収入が‘158万円以下(65歳未満の場合は108万円以下)である場合には所得金額が48万円以下になり、扶養にすることができます。

 

親と同居していなくても扶養にできる場合がある

親と別居している場合でも、親の合計所得が48万円以下で、毎月生活費を仕送りしたり、医療費を負担したりしており「生計を一にしている状況」である場合には、税務上の扶養親族にすることが可能です。扶養にできる仕送り額については、今のところ具体的な金額は公表されていませんが、2020年の税制改正で国外の親族を扶養親族にする要件の中で「年間38万円以上の生活費の送金」と記載されているため、年間38万円以上の仕送り額が1つの目安になると思われます。

 

健康保険にもメリットがある

「扶養」には、先ほど紹介した税務上の扶養とは別に「健康保険の扶養」があります。健康保険は、同居の場合で年収180万円未満(親が60歳未満の場合は年収130万円)、かつ被保険者の年収の半分未満である場合に扶養にすることが可能です。

ただし、親が75歳以上になると医療保険から後期高齢者医療制度に切り替わるため、健康保険の扶養には入れません。

別居の親であっても、税務上の扶養と同様に毎月仕送りなどを行なっていれば健康保険の扶養にできますが、仕送り額の条件が厳しく設定されています。別居の親を健康保険の扶養にするためには「最低仕送り額が月50,000円以上、かつ親の所得合計以上」の仕送りが必要です。

 

小規模宅地等の特例を利用して相続税の節税

相続税の特例の中で最も重要になる特例が「小規模宅地等の特例」です。小規模宅地等の特例を利用することで宅地の相続税評価額を最大で80%減額することができます。

この小規模宅地等の特例を利用するためには、原則的に「宅地を相続する相続人と亡くなった被相続人の同居」が必要です。親と同居することで小規模宅地等の特例が利用できるようになり、相続税の大きな節税につながります。

相続発生後は、相続税申告期限まで自宅に居住し続ける必要がある点には注意が必要です。

小規模宅地等の特例の要件については「【いつ売却できる?】小規模宅地等の特例の適用を受けて不動産を売却する要件」をご覧ください。

小規模宅地等の特例の要件である「同居」とは?

小規模宅地等の特例の要件である「同居」とは「共に生活していること」という意味です。しかし、生活の中で老人ホームに入所するケースなど、例外的な状況も発生してしまいます。特例の利用が認められる「同居」について見ていきましょう。

 

同居として認められるケース

・同居の親が老人ホームに入所した場合
同居の親の健康状況が悪化し、介護などが必要になり老人ホームへ入所、そのまま最後を迎えられた場合には、小規模宅地等の特例の要件である「同居」として認められる可能性があります。以下の要件を満たしている場合には特例の適用が可能です。

①親が要介護認定または要支援認定を受けていること
※要支援認定の申請中に亡くなってしまった場合であっても認められます。

②自宅を賃貸していないこと

・二世帯住宅で区分所有登記していない場合
親と二世帯住宅で同居する場合には、区分所有登記を行っているかどうかによって小規模宅地等の特例での「同居」にあたるかが異なります。

同じ1棟の建物に親と同居し、その建物の名義は親名義である場合、子は無償で子の居住部分を借りている状況であれば、二世帯住宅であっても小規模宅地等の特例を利用することができます。

ただし、部屋ごとに名義が異なる場合(1階部分が親名義、2階部分が子の名義など)には、区分所有登記になりますので、小規模宅地等の特例は利用できません。

 

親に生活費を負担してもらい相続税を節税

親と同居する場合、生活費の負担をできるだけ多くしてもらえれば、親の財産が少なくなりますので、結果的に相続税を節税することができます。一般的には「生活費を親に負担してもらうと贈与税の対象になる」と考えてしまいがちですが、その費用が通常の生活費として利用されていれば贈与税の対象になりません。

生活費を負担してもらうことは、生前贈与や不動産などを利用した相続対策よりも手軽で効率的にできる節税方法です。

 

Contact us

お問い合わせ・無料相談のご予約

オンライン面談可・
平日夜間/土日対応可

この記事の執筆者:渡邉 優

監修者情報

この記事の執筆者:渡邉 優

「渡邉優税理士事務所」代表。相続の中でも“不動産にお困りごとを抱える相続”の対応を得意としている。

Access

アクセス

住所:東京都千代田区平河町2-14-11 HK平河町2F

東京メトロ 有楽町線 / 半蔵門線 / 南北線
「永田町駅」4番出口 徒歩4分

Contact us

お問い合わせ・無料相談のご予約

オンライン面談可・
平日夜間/土日対応可

TOPに戻る