【不動産売却後の健康保険料に注意】譲渡所得と健康保険料の関係を解説!

【不動産売却後の健康保険料に注意】譲渡所得と健康保険料の関係を解説!

「不動産を売却すると翌年の健康保険料が上がるのではないか?」

不動産の売却を検討している人の中には、このような疑問を持っている方も少なくないのではないでしょうか。

 

結論から言うと、不動産の売却で翌年の健康保険料が上がる可能性があるのは「国民健康保険加入者と後期高齢者医療制度加入者」です。ただし、特例の利用により譲渡所得が発生しない場合など、状況によって異なります。

 

ここでは「不動産売却後の健康保険料」について詳しく解説します。居住用財産の3,000万円控除を利用しても負担が増えてしまう場合についても解説いたしますので、最後までお付き合いください。

 

 

健康保険の種類

健康保険には「健康保険」「共済保険」「国民健康保険」「後期高齢者医療保険」の4種類があり、保険料の決定方法が異なります。それぞれの健康保険の特徴について見てみましょう。

 

・健康保険

会社員やその扶養家族が加入できる公的医療保険です。中小企業の従業員とその扶養家族が加入する「協会けんぽ」や大企業の従業員とその扶養家族が加入する「組合健保」があります。健康保険料は、月給を基準とした「標準報酬月額」により決定します。

 

・共済保険

国家公務員や地方公務員が加入できる公的医療保険です。「国家公務員共済組合」「地方公務員共済組合」「私立学校教職員共済」などがあります。健康保険料は、健康保険と同様に月給を基準とした「標準報酬月額」により決定します。

 

・国民健康保険

自営業や年金生活者、非正規雇用者、その家族が加入する公的医療保険です。都道府県と市町村が連携で運営しており、健康保険料は世帯の所得や加入者の人数などによって決定します。

 

・後期高齢者医療制度

75歳以上もしくは65歳以上で障害を持つ高齢者が加入する公的医療保険です。保険料は加入者の所得によって決定します。

 

 

不動産を売却すると健康保険料が上がる可能性がある人

不動産を売却すると健康保険料が上がる可能性がある人は「国民健康保険と後期高齢者医療保険」の加入者です。この2種類の健康保険は、所得を基準にして翌年の健康保険料が決定します。そのため、不動産を売却し、売却益(譲渡所得)が発生すると所得が増え、健康保険料が上がってしまいます。

 

ただし、居住用財産の3,000万円控除を適用し、譲渡所得が発生しない場合には健康保険料に影響はありません。また、国民健康保険料には上限が設定されています。2024年の上限は106万円(2023年から2万円引き上げ)になっており、毎年引き上げられています。

 

会社員や公務員には影響がない

不動産を売却して売却益(譲渡所得)が発生した場合であっても、会社員や公務員の健康保険料には影響しません。会社員や公務員が加入する健康保険や共済保険は、月給を基準とした「標準報酬月額」に健康保険料率を乗じて健康保険料を算出します。そのため、譲渡所得がある場合であっても、健康保険料が上がることはありません。

 

配偶者が不動産を売却した場合は?

健康保険や共済保険は、不動産売却の影響を受けません。しかし、扶養である配偶者などが不動産を売却した場合には確認が必要です。原則的な健康保険の扶養の要件は「年間収入が130万円未満」かつ「被保険者の年間収入の2分の1未満」です。そのため、不動産売却により要件を満たさなくなってしまい、扶養から外れて国民健康保険に加入しなければならない可能性があります。

 

協会けんぽなどの多くの保険組合では継続的な収入で判断することになっており、一時的に発生した譲渡所得は年間収入に含めないことになっているため、扶養から外れることはありません。しかし、組合によっては譲渡所得を一時的な所得とみなさない可能性も考えられますので、加入している組合に確認したほうがいいでしょう。

 

国民健康保険が上がる金額は?

国民健康保険と後期高齢者医療制度に加入している方が不動産を売却した場合には、保険料が上がる可能性があります。では、どれくらい保険料が上がるのでしょうか。シミュレーションをしてみましょう。

 

国民健康保険は「医療保険分」「後期高齢者支援分」「介護保険料分」の3つで構成されており、さらにそれぞれ「所得割」「均等割」「平等割」「資産割」の4つに区分されます。この区分の採用は市区町村ごとで異なります。

 

・4方式⇒「所得割」「均等割」「平等割」「資産割」で計算される国民健康保険料

・3方式⇒「所得割」「均等割」「平等割」で計算される国民健康保険料

・2方式⇒「所得割」「均等割」で計算される国民健康保険料

 

不動産の売却が影響を与える部分は「所得割」の部分です。所得割は「(世帯の所得額-基礎控除額)×保険料率」で計算を行い、保険料率については各市区町村で異なります。

 

シミュレーションとして、令和5年度大田区の国民健康保険料率を参考に計算してみましょう。大田区は所得割と均等割で構成される2方式を採用しています。

 

国民健康保険の計算例

【前提条件】
国民健康保険加入者
①夫(45歳) 所得額500万円
②配偶者(45歳) 所得額0円
③子(10歳) 所得額0円

 

不動産の売却がなかった場合

・医療分 462,669円
所得割 (世帯所得500万円-基礎控除額43万円)×保険料率7.17%=327,669円
均等割 加入者数3人×45,000円=135,000円

・後期支援分 155,894円
所得割 (世帯所得500万円-基礎控除額43万円)×保険料率2.42%=110,594円
均等割 加入者数3人×15,100円=45,300円

・介護分 132,940円
所得割 (世帯所得500万円-基礎控除額43万円)×保険料率2.20%=100,540円
均等割 加入者数3人×16,200円=32,400円

合計751,503円

 

不動産の売却があった場合

不動産の売却があり、売却金額から譲渡費用と取得費を差し引いた金額である譲渡所得が200万円発生した場合

 

・医療分 606,069円
所得割 (世帯所得500万円+譲渡所得200万円-基礎控除額43万円)×保険料率7.17%=471,069円
均等割 加入者数3人×45,000円=135,000円

・後期支援分 204,294円
所得割 (世帯所得500万円+譲渡所得200万円-基礎控除額43万円)×保険料率2.42%=158,994円
均等割 加入者数3人×15,100円=45,300円

・介護分 170,000円(賦課限度額17万円)
所得割 (世帯所得500万円+譲渡所得200万円-基礎控除額43万円)×保険料率2.20%=144,540円
均等割 加入者数3人×16,200円=32,400円

合計980,363円

 

譲渡所得が200万円発生すると、不動産売却がない場合と比べて228,860円増加する結果になります。

 

居住用財産の3,000万円控除を利用した場合

所得税には、要件を満たすことで売却益が出た場合でも、その売却益を3,000万円まで控除してくれる「居住用財産の3,000万円控除の特例」があります。この特例はマイホーム(居住用財産)を売却した場合に利用できる特例です。

 

特例を利用し譲渡所得を減らす、または0円にすることで国民健康保険料の所得割を減らす、または影響を与えないようにすることができます。

 

居住用財産の3,000万円控除の特例については「居住用財産の3,000万円控除の活用方法!!」をご覧ください。

 

 

 

居住用財産の3,000万円控除を利用しても負担が増える場合

自宅を売却した場合で、居住用財産の3,000万円控除を利用し、譲渡所得が発生しない場合であっても、国民健康保険料が増加してしまう可能性があります。3,000万円控除後の譲渡所得が適用される国民健康保険の項目は所得割であり、均等割額と平等割額の軽減(法定軽減)については特例が適用される前の金額で判定を行います。

 

そのため、低所得世帯に対する軽減措置を受けている場合には、軽減に該当する世帯ではなくなり、国民健康保険料が増加する可能性があります。

 

不動産の売却は税理士へご相談ください!

国民健康保険や後期高齢者医療制度の方が不動産を売却すると、翌年の保険料が増加してしまう可能性があります。保険料を増加しないようにするためには「特例が利用できないか」「不動産売却にかかる費用がもれていないか「不動産の取得費に入れられるものはないか」などを検討し、譲渡所得を圧縮する対策が必要です。

 

当事務所は「オーダーメイドのサービス」をご提供しています。お客様に一人一人の状況をお伺いし、お客様にとって最良の選択をご提案させていただきます。税制面から不動産の売却手続き、その後の所得税申告まで全ての業務を窓口一つでサポートしております。不動産の売却を検討されている場合は、下記お問い合わせフォームからご連絡ください。

 

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この記事の執筆者:渡邉 優

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この記事の執筆者:渡邉 優

「渡邉優税理士事務所」代表。相続の中でも“不動産にお困りごとを抱える相続”の対応を得意としている。

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